■こんな人におすすめ
感動もしたいしアクションも楽しみたい
■こんなシチュエーションで
カップルで
一人でじっくり
映画「エクスティンクション 地球奪還」を観た感想。バランスの整った良作。
映画でよくあるシーンといえば、主人公が謎の悪夢や幻視に苦しみ、それが現実となるといった展開だ。
手あかのついた、おなじみのトリックではあるのだが、この映画に関しては温故知新ともいえる新しい息吹を感じることができた。
悪夢にさいなまれる主人公ピーターは、その悪夢が原因で周囲の人間の悩みの種となっていた。しかし、宇宙人襲来の悪夢は現実となり、突如宇宙服を身にまとう異星人が街をせん滅し人々に火を噴く。
ストーリー前半までは、なるほどこういったよくあるSFなのね、とは思うのだが緻密に作られたプロットと、誇張しすぎない役者陣の演技により心地よいどんでん返しがうれしい映画となった。
実は主人公含む人間は人造人間で、異星人は地球人とは。悪夢は予知夢ではなく、過去の人間と人造人間との戦争との記憶であった。
大胆でよく考えれば出てきそうな展開だが、悟られずにストーリーを構成できたのはすばらしい。
パニック映画としての盛り上がりはまぁまぁ。異星人は地球人というだけあり、武器の火力は想定の範囲内といったところ。しかし、それゆえにリアルさもあるのでこの設定には納得できる。
人間と人造人間の戦いなどというと「ターミネーター」のシュワルツェネッガーを思い浮かべるが、人造人間である彼らは普通の人間そのもの。過去のつらい記憶を消去した多くの人造人間は自分が人造人間であることさえ知らないのだ。
人間と人工知能との在り方や、近未来SFの設定・ストーリー、人間ドラマなどいたるところに観客を楽しませ、そして映画としての魅力を高めようとする要素が垣間見れ、個人的には満足。
ただ、人によってはアクションの物足りなさを感じるかもしれないが、そんなときはもう一度、この映画の設定やストーリーを考えてみると納得できるかもしれない。
主人公は私のお気に入りであるマイケル・ペーニャ。ユーモラスな一面はかなり抑えられ、家族を守る人間味あふれた人造人間役を好演。演技の幅の広い役者であることを再認識できた。
とにかく、太鼓判を押せるいい出来の映画である、個人的には。