■こんな人におすすめ
学園をテーマとした暗い話が好き
うわさ話を聞くのが好き
■こんなシチュエーションで
一人でじっくり
映画「狂視」を観た感想。狂気の沙汰は覗きたくない。
昔からあの手この手で行われてきたイジメ。世間を騒がす大問題になってから大人が真面目な顔したり
そうかと思えば知らんふりをするのが今どきって感じなんだが、狂気の沙汰も深まるとこの映画みたいになる。
まずはすこし場面をすすめたあるシーンでノックアウト。
元教師であった谷野という男がなにやら怪しげな取引をしている。さっさと取引を終えて帰ればいいものを相手を挑発して
わざと自分を殴るように仕向けてくるんだ。
実はこれ映画のテーマを冒頭でわかりやすく伝えている非常に重要かつ印象的なシーンだったりするんだな。
ボコボコに殴られた谷野を救ったのは中学時代の恩師である森。森という男のおかげで森が教師を勤める学校へ復職することになるんだ。
この映画は、いい意味で不愉快。その不愉快こそがイジメであり、イジメを作る風土なのだということがわかりやすく作られている。
いじめや様々な問題を未然に食い止めようと告知なしの手荷物検査をする教師と、異常ともいえる学生たちの実態。
俺も含めて観客や、この映画の教師から見れば異常なんだが、生徒はそれをわかってない。
こういったジレンマって、ほんとは学校だけではなかったりするものだ。
大人だって学生たちほどあからさまでないにせよ人をいじめる、弱い立場の人間から無意識にそして合法的に搾取していたりもする。
だからこそこの映画を目を背けずに見ることが必要なのかもな。
映画のつくりは冒頭から中盤にかけてはホラー、中盤から終盤にかけてはミステリーといったテイストになっている。
根幹は社会風刺が強いドラマなんだけど。
かなりグロテスクな表現だったりセクシャルなシーンもあるから要注意だ。
まぁそれも含めてこの映画の味だったりもするから、極端に嫌いでなければ気にしなくてもいいはずだ。
テレビや映画で活躍する一級の役者ではないが彼らの熱量と役作りは本物だな。
久しぶりに気持ちのいい演技を見た気がするね。
余計なお世話かもしれんが、この映画をさらに楽しく見る方法。それは生徒の存在を常に思い出すこと。
教師ばかりが画面に映って、その教師たちの話がメインで進んでいくからつい生徒の存在を忘れてしまうんだ。
だからこそ、教師の話から作り出された生徒の姿だけじゃなく、自分で考えていくとさらに楽しみが広がるな。
かなりおすすめできる映画なんだが、おそらくレンタルしにくい作品かもしれない。
見たい人は根気よく探すといいぜ。