■こんな人におすすめ
事実をもとにした映画が好き
■こんなシチュエーションで
一人でじっくり
映画「ウィンドリバー」を観た感想。知られざる社会の裏側。
世の中にはどの程度の割合である事象が起こりうるかを知るために集められた統計というものがある。
そういった統計は個人や集団の未来を比較的、計画しやすくなる。
だが、複雑な理由で統計が存在しないデータというものまた存在する。
この映画はネイティブアメリカの社会にスポットライトを当てた作品だ。
主人公であるコリーは野生生物局の職員であり、猛獣のハンターを専門にしている。ハンティングの腕前はピカイチ。ピューマ狩りを依頼され、ピューマの追跡をしていた時に、裸足で横たわる少女を発見する。
統計が存在しない、これって異常だとは思わないか?
しかも、一人当たり一年でどのくらいプリンを食べたか、1kmあたりに存在するトイレの数、だとかいうくだらない統計ではないんだ。
ここで問題なのは、「ネイティブアメリカンの女性」が受けた性的暴行に関する統計。
もちろん、白人や黒人といったネイティブアメリカンにはあたらない人種の統計は存在するはずだ。
それはアメリカがいまだにネイティブアメリカンに対する差別を公然と持っているというよりも、ネイティブアメリカンの持つ自治権などとアメリカの法の摩擦を食い物にするヤツらがいるってことなんだ。
主人公のラリーは見えない犯人を追い詰めていくんだが、こういう悪党を懲らしめる漢ってのはいつ見てもスカっとする。
スカっとはするんだが、この映画は事実をもとにした映画。
ラストは少しは気持ちのいい展開があるんだが、この映画を見ている間にも同じような事件が起きているかもしれないと考えると、心中穏やかではなくなるかもな。
映画の構成は非常に優秀で教科書通りといった感じ。
普段はあまりにもキチンんとしすぎると物足りなさを感じてしまうんだが、センシティブな事実をベースにしているわけで、これくらいカッチリ作られているのもうなずける。
主役はジェレミー・レナー。アベンジャーズのホークアイといえばわかりやすいだろうな。
そして雪に不慣れではあるが不屈の魂を持ったFBI役はアシュレー・オルセン。
こちらもアベンジャーズにワンダ役として出演。やっぱり美しい女性が出演すると映画自体がグンと引き締まるんだな、これが。
カップルでイチャイチャしながら見るものではない、が誰にでもおすすめしたくなる優秀な映画だ。
まさに冬のシンと静まり返った夜にじっくりとみたい映画という印象だ。